涙道外来では、涙の通り道の異常により涙が多くなっている方を対象に診察を行います。
●涙目とは
涙は目に必要不可欠なものですが、多すぎても少なすぎても目に不快感を与える原因になります。
涙は上まぶたの外側にある涙腺で作られ、目の表面を潤します。
その後、涙の通り道を通って鼻の中に流れます。涙の通り道は涙道と呼ばれ、眼がしら近くにある上下の小さい入り口(涙点)から細い管(涙小管)を経由し、涙嚢、鼻涙管と呼ばれる道を通って鼻の奥に流れます。
涙道のどこかで細くなったり、詰まったりすることで涙が多くなる流涙症が発生し、常に涙が気になる涙目と呼ばれる状態になります。
詰まった涙道に細菌感染がおこるとウミがたまり、涙嚢炎と呼ばれる病気になります。
涙嚢炎では常に目ヤニがついた状態になり、ひどくなると目のまわりがはれることもあります。
●治療
涙が多かったり、目ヤニが常にでていたりするような状態は涙道に異常がある場合が多く、まず涙道を洗浄する検査を行います。
涙道がその途中で詰まってしまう涙道閉塞症では洗浄を行っても鼻まで水が流れず、逆流してきます。
さらに涙道に細い内視鏡を入れて観察すると通り道が狭くなっていたり、詰まっていたりするかがわかります。
狭い場所を広げたり、詰まっている場所を開放したりすることで涙が流れるようになりますが、そのままではもとの状態に戻ってしまうため、シリコン製の細いチューブを留置します。
この治療は涙管チューブ挿入術と言いますが、チューブによる違和感はあまりなく、日常生活にも支障をきたしません。
チューブは約2か月入れておきますが、抜いた後、再び閉塞する方もあります。
その場合は次の治療法として手術を行いますが、涙道がどこで詰まっているかによって手術方法は異なります。
涙点や涙小管が狭かったり詰まっていたりする場合は涙小管形成術を、涙嚢や鼻涙管が閉塞している場合は涙嚢鼻腔吻合術を行います。
涙嚢鼻腔吻合術は詰まっている場所より上の健常な涙道と鼻腔をつなぎ、新しい通り道を作る手術ですが、手術後の安静が必要であり、原則的には入院が必要となります。
●涙管チューブ挿入術の注意事項
- 手術中は鼻や口の中に麻酔液や血液、内視鏡から流れた生理食塩水が流れてきます。少量なので飲んでも心配ありませんが、多い場合は口から出してもらいます。
- 麻酔は1時間前後で切れますが、手術の影響でまぶたがはれ、見にくくなることがあるので、手術当日は車の運転は控えてください。
- 手術直後は麻酔の影響で目の動きが鈍くなり二重に見えたり見えにくかったりすることがあるため、眼帯を付けますが、数時間でもとに戻ります。
- 手術当日は、運動、飲酒等は控えるようにして下さい。翌日からは普通の生活を送れます。
- チューブ挿入後、数日は鼻水や涙に血がまじることがあります。しばらくすると涙や目ヤニは減ってきますが、チューブで目がゴロゴロすることがあります。
- まれにチューブが入れた場所から出てしまうことがありますが、たくさん出てしまった場合は抜きます。出てきたチューブをご自分で抜いても良いですが、心配でしたら、来院してください。
- 麻酔により目のまわりに内出血が起きてはれたり、赤紫になったりすることがありますが、数週間のうちに治ります。